「ごめんね」が「ありがとう」に変わった日:病気が教えてくれた感謝の魔法

以前の私は、「ごめんね」や「すみません」がまるで呼吸のように口癖になっていました。

何かにつけて「ごめんなさい」「すみません」と、必要以上に、そして反射的に、その言葉を口にしてしまう自分がいたんです。

人に何かを頼む時も、「すみません、これお願いできますか?」と切り出し、道を譲ってもらった時も、「あ、ごめんなさい、ありがとうございます」と謝罪を挟んでいました。

自分のちょっとした不手際があった時はもちろん、「あー、ごめんね、やっちゃった」と即座に口にしていましたし、時には、相手に気を遣わせたかも、と思っただけで、すぐに「すみません」と言ってしまうような、そんな毎日でした。

当時はその「ごめんね」が、その場を円滑にしたり、相手との間に波風を立てないための潤滑油のようなものだと考えていました。

謝ることで、自分が悪者になることを避け、相手からの非難を防ぎ、そして何より、自分自身の心を守っていたのかもしれません。

しかし、心の奥底では、常に「申し訳ない」という感情が先行し、どこか縮こまったような、自信のない自分がいたように思います。

病気が教えてくれた「ありがとう」の温かさ

そんな時、精神疾患を経験しました。

病気になった当初は、それまでの生活が送れないこと、周りに迷惑をかけてしまうことに対して、まさに謝罪の嵐でした。

家族や友人、職場の同僚、病院のスタッフの方々…本当に多くの人に対して「ごめんね」「すみません」を連発していました。

起き上がることすら辛い日には、母はこまめに声をかけてくれました。

友人は、私が無理に気丈に振る舞おうとする姿を見て、そっと隣で話を聞いてくれました。

病院の先生は大丈夫だよと励ましてくれました。

そんな時、反射的に「ごめんね、ありがとう」と口にしそうになったんです。

でも、ある時、ふと手が止まり、言葉が出なくなりました。

その瞬間、私の頭の中に、こんな問いが浮かびました。

「この人たちは、私が『ごめんね』と言うために、こんなにも優しく、温かい行動をしてくれているのだろうか?」

答えは、明確に「ノー」でした。

彼らは、私のことを純粋に思い、心配し、助けたいと思って行動してくれていたのです。

私が「ごめんね」と言うことで、もしかしたら彼らの純粋な優しさに対して、壁を作ってしまっているのかもしれない。

そんな風に感じた瞬間、私の口から自然と、そして心の底から「ありがとう」だけが溢れ出てきました。

その「ありがとう」は、これまでの私の「ごめんね」とは全く違う、温かくて、とても力強い言葉でした。

そこには、申し訳なさや遠慮は一切なく、ただただ純粋な感謝の気持ちだけがありました。

そして、その言葉を受け取った相手も、それまでの遠慮がちに微笑んでいた表情から、ふわりと、心からの笑顔になってくれたんです。

「ごめんね」に「ありがとう」を添えるのではなく、「ありがとう」だけで伝えることの温かさ、そして、相手に感謝をストレートに伝えることの心地よさを、この時初めて、全身で実感しました。

それは、私自身の心を大きく揺さぶり、人生観を変えるほどの出来事でした。

些細なことにも「ありがとう」を伝える魔法

この経験以来、私は意識して「ありがとう」を伝えるようにしています。

それは、病気が完治した今も変わらない、私の大切な習慣です。

  • 誰かがドアを開けてくれた時、迷わず「ありがとうございます!」
  • 店員さんが丁寧に対応してくれた時、「助かりました、ありがとうございます」
  • SNSで私の投稿に「いいね」してくれた時、心の中で「見てくれてありがとう」
  • 家族が当たり前のように家事を手伝ってくれた時、「いつもありがとうね」

どんなに小さなことでも、どんなに当たり前だと感じることでも、「ありがとう」と口にするたびに、自分の心が感謝の気持ちで満たされていくのを感じます。

そして、その言葉は、相手との間に温かい信頼や絆を育み、目には見えないけれど確かな繋がりを生み出してくれます。

以前「ごめんね」を言っていた頃は、どこか自分を責めているような、あるいは誰かに責められているような、そんなネガティブな気持ちが常に心の片隅にありました。

でも、「ありがとう」を口にするようになってからは、感謝の気持ちで心が満たされ、自分自身を肯定できるようになりました

周りの優しさや助けを素直に受け取れるようになり、世界がより彩り豊かに見えるようになったのです。

感謝の言葉は、言う相手だけでなく、言う側の心も豊かにしてくれる、本当に不思議な魔法の言葉です。

病気が私に教えてくれたこの大切な気づきは、私の人生を大きく変えるきっかけとなりました。

もし、あなたも「ごめんね」や「すみません」が口癖になっているなら、ほんの少しだけ意識して「ありがとう」を伝えてみませんか?

きっと、あなたの心にも温かい変化が訪れるはずです。そして、その小さな変化が、あなたの毎日をより豊かに彩ってくれることでしょう。

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